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『#アルシュを語る』小野月世さんインタビュー

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2019.06.24

水彩画家 小野月世さんに聞く、
ウィンザー&ニュートンとアルシュのパーフェクトマッチ
 
ウィンザー&ニュートン(以下W&N)のプロフェッショナルウォーターカラーとアルシュ水彩紙を長年ご愛用いただいている小野月世さんに、「パーフェクトマッチ」についてのお話を伺いました。
 
 
 
--小野さんと水彩との出会いについて教えてください。
 
水彩を始めたのは小さな頃から遊びの一環として絵具を使っていましたが、作品として水彩を描いたのは高校を卒業する頃、日本水彩画会への出品を母から勧められて描いたのが始まりです。
好きなところは絵具そのものの透明感、流動的なところ。難しいところは描いている時の湿度など環境に左右されるので、いろんな条件を加味しながら常に良い状態で絵具をコントロールして描くこと。
 
 
--W&Nの絵具とアルシュ水彩紙を愛用されていますが、それぞれの画材の印象についてはどうお感じになっていますか?
 
たまたま旅行用に買った固形絵具のセットがニュートンで、それ以降ずっと使い続けていますが、正直W&Nの絵具は他のものに比べ発色がそれほど強くなく、弱いような印象でした。
アルシュ紙は使い始めてから15年ほどになりますが、コットンのため絵具の吸い込みが良く、柔らかな風合いでいかにも水彩らしい滲みやぼかしのグラデーションが綺麗に表現できるので、好きな紙の一つです。
 
 
--W&Nの絵具とアルシュ水彩紙との組み合わせでお使いいただいていますが、相性や使い心地はいかがですか?
 
W&Nの絵具は少し発色が弱いと申し上げましたが、実はそれは私にとってはメリットで、基本、混色して色を作る私の方法では、色同士の主張が強すぎないほうが混ぜた時に濁りにくく、お互いの色を殺さず上品な色が生まれます。そしてその薄く柔らかな微妙な色を余さず定着してくれるのが吸い込みの良いアルシュ紙です。他の水彩紙の中ではダントツに色の濃さがしっかりと出るので、ちょっと弱めのW&Nの色が濃い色は濃く美しく、薄い色は微妙な色まで表現でき、とても良い組み合わせだと感じます。
 
 
--最後に、水彩をやってみたい・上達したいと思っている方へアドバイスをお願いいたします。
 
水彩は生き物です。使う絵具、紙、筆、季節、シチュエーション、時間、描き方、テクニックなど様々な条件が関わりあって一つの作品が生まれます。毎回同じ条件で描けるとは限りませんから、それを習得することは決して簡単なことではなく、知識と経験が必要な絵画技法といえるでしょう。
上達の近道は日々描くこと。絵具一つ一つに性格があって、ちょっとクセのある子、言うこと聞いてくれる子、困った時のお助けの子、など使っているうちに馴染みの色が増えてきます。絵具と友達になれればちゃんと味方になってくれます。そのためにはやはり日々の鍛錬が必要です。失敗は成功のもと、たくさん失敗をして上達してください。
 
 
 
 
小野 月世 Tsukiyo Ono
 
現在 公益社団法人日本水彩画会常務理事、女子美術大学非常勤講師
昭和44年(1969年) 兵庫県生まれ 
平成6年(1994年)女子美術大学絵画科日本画専攻卒業
平成8年(1996年)女子美術大学大学院美術研究科日本画修了

著書
「小野月世の水彩画 花レッスン」(日貿出版社)
「小野月世の水彩画 人物レッスン」日貿出版社
「小野月世の水彩教室」(一枚の繪)(グラフィック社) 
「きれいな色で描きたい 水彩レッスン」(グラフィック社)
 
 

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